根管治療で治らなかった時の次の一手!歯根端切除術!!

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歯根端切除術 (根尖切除術) 

歯根端切除術とは、根管治療を行っても症状が改善しない場合に行う外科手術のことです。根管治療後に一定期間経過観察を行っても、症状が改善されない場合に外科的な歯内療法に踏み切ることがあります。

歯根端切除術、別名根尖切除術は、歯の根尖部分(歯の根の先端)を外科的に切除し、感染や炎症を治療する歯科手術です。この手術は、根管治療だけでは治癒しない場合や、根尖部分に膿瘍が形成されている場合に行われます。
マイクロスコープを使用することにより、的確な原因除去が行えます。

根管治療がしっかりと行われていることが前提になりますが、症状が改善されない場合には次の一手としてご検討されてみてはいかがでしょうか。

歯根端切除術の方法

  1. 診断と計画:
    • まず、根管治療を行ったあとも改善が見られない根尖部分の感染や炎症の程度を確認します。X線撮影及びCT撮影を行い、歯根の形態や膿疱の大きさ、根尖周囲の骨の状態の診査、診断を行います。
    • 歯根端切除術が適応の場合は治療内容や費用、リスク等のご説明をいたします。
  2. 麻酔:
    • 手術部位に局所麻酔を施し、患者様が痛みを感じないように表面麻酔を塗布して無痛麻酔を行います。
  3. 切開とフラップ形成:
    • 歯茎に切開を入れ、歯根周囲の骨を露出させます。フラップ(歯肉弁)を適切に形成することで、根尖部へのアクセスが容易になります。マイクロスコープに角度をつけることにより、ミラー越しではなく直視で処置が行えるので術部が見えやすくなり、処置が行いやすくなります。
  4. 骨の除去:
    • 必要に応じて、歯根周囲の骨の一部を削り、根尖部を露出させます。これにより、感染部位へのアクセスが可能になります。
  5. 根尖の切除:
    • 根尖部分を約3mm程度切除します。この際、感染組織や炎症組織も一緒に除去します。
  6. 逆根管充填:
    • 根尖部を切除した後、根管内をきれいにし、MTAセメントと呼ばれる逆充填材を充填します。この逆充填材は、感染の再発を防ぐためのバリアとして機能します。
  7. フラップの縫合:
    • フラップ(歯肉弁)を元の位置に戻し、縫合します。縫合を緊密に行うと治癒が早く、手術の痕がわかりづらくなります。
  8. 術後管理:
    • 手術後、抗生物質や鎮痛剤を処方します。術後の注意事項を説明して終わります。
ピンセットで掴んでいるのがカットした歯の根の先端です

適応症

歯根端切除術は、以下のような場合に適応されます。

  1. 根管治療で改善しなかった場合:
    • 根管治療後にフィステル(膿の出口)が再発した場合や、根尖病変が治癒しない場合
  2. 根尖周囲の嚢胞や膿瘍:
    • 根尖外に感染が起こっている場合
  3. 根管の解剖学的な問題:
    • 根管が曲がっていたり、狭くて根管治療が困難な場合
  4. 太くて長いメタルコア(金属の土台)が入っている場合:
    • メタルコアを除去すると歯が割れてしまうリスクが高い場合

術後管理

  1. 痛みと腫れの管理:
    • 術後の痛みや腫れ出る場合がありますが、ピークは2~3日で数日以内に改善します。鎮痛剤と抗生物質を処方します。
  2. 口腔内の清潔:
    • 手術部位を清潔に保つことが重要です。術後はうがい薬で管理、抜糸後は柔らかい歯ブラシで優しく磨いてもらいます。
  3. 食事の制限:
    • 術後数日は、硬い食べ物や刺激物を避け、柔らかい食事を摂るようにしていただきます。
  4. 術後の経過観察:
    • 手術後1週間で経過観察と併せてPMTCを行います。傷の治癒状況や感染の有無を確認、抜糸・消毒を行います。術後数週間は消毒と経過観察でご来院頂きます。
    • 3ヵ月後にレントゲンやCTにて病変の縮小を確認し、最終補綴(被せもの)に移行します。

合併症

歯根端切除術はリスクの低い手術ですが、いくつかの合併症が発生する可能性があります。

  1. 感染:
    • 手術部位が感染することがあります。これを防ぐために、抗生物質の服用が推奨されます。
  2. 神経損傷:
    • 歯の位置によっては、神経が損傷されるリスクがあります。特に下顎第二小臼歯では、このリスクが高くなります。
  3. 痛みと腫れ:
    • 術後の痛みや腫れは2~3日をピークに落ち着いていきますが、長引く場合は歯科医の診察を受けてください。

費用・通院回数・リスク

費用

¥100,000+税

通院回数

4回(術前PMTC30分、手術約2時間、術後PMTC・抜糸30分✖️2)

リスク

・歯根が短くなるため、動揺(歯がグラグラすること)が発生する可能性

・失活歯(歯の神経のない歯)のため、将来の歯根破折が起こる可能性

・原因が取りきれなかった場合には、根尖病変または膿疱が再発する可能性

まとめ

歯根端切除術は、根管治療だけでは治癒しない場合や、根尖部に感染や炎症が発生している場合に有効な治療法です。マイクロスコープの使用により成功率が上がることが報告されています。適切な診断と手術計画、術後管理を通じて、歯を保存し、口腔内の健康を維持することが可能です。

歯の根の治療をしたあとも症状が改善されない場合、歯根端切除術で改善される可能性があります。
どうぞ一度ご相談ください。