ロイテリ菌で歯周病が治る?プロバイオティクスの歯周病や虫歯への効果、効能、副作用とは
歯周病にロイテリ菌の効果は?
歯磨きをしっかりしているのに、歯科で歯周病になっていると言われたことはありませんか?
当院にも歯周病で歯のぐらつきや口臭に悩まれている方がいらっしゃいます。
歯周病はひどくなると見た目や臭いなど他人からの視線も気になりますよね。
ロイテリ菌やプロバイオティクスをご存じな方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらのページではロイテリ菌やプロバイオティクスは歯周病に効果があるのかをご説明していきます。
歯周病とは?
そもそも歯周病とはどのような病気なのでしょうか。
歯周病とは細菌感染により起こる病気で、歯茎から膿が出たり、歯を支える骨が溶けてしまう疾患です。
そのため重度になると歯がグラグラとしたり、歯が抜け落ちてしまいます。
現在日本では35歳~59歳の約7割の方が歯周病と言われています。
(2016年厚生労働省実施「歯科疾患実態調査」より)
歯周病は痛みなどの自覚症状がないまま進行するサイレント・ディジーズ(静かに進行する病気)と呼ばれることもある病気で、お口の中が常に炎症を起こしている状態です。
この炎症が糖尿病・アルツハイマー・早産・心筋症など全身疾患を引き起こす要因になることも分かっています。
当院に通われているN様は虫歯がなかったため10年以上歯医者に行っていなかったそうです。
しかし歯に違和感があり、歯医者に行ったところ重度の歯周病になっていたことが分かり、当院へといらっしゃいました。
当院で歯周病菌の検査をしたところ病原性が特に高いP.g菌(P.gingivalis)2型という歯周病菌が見つかりました。
P.g菌2型は健常者に比べて歯周病のリスクが44倍も高く、重度歯周病の方に歯周病菌検査をするとこのP.g菌2型が見つかることが多々あります。
N様も歯の健康には自信があったそうで、この結果にとても驚かれていました。
このように、歯周病はご自身で違和感に気づかれたときには進行していることがあります。
ご自身では自分が歯周病かどうか判断しかねる方も多いと思います。
まずはこちらのチェックシートに当てはまるものがあるかチェックしてみましょう!
歯周病セルフチェック
あなたが選択したのは0個です!
日本歯周病学会・臨床歯周病学会.
『続・日本人はこうして歯を失っていく――専門医が教える全身の健康につながる歯周病予防』.
朝日出版社.2020,p12
1つでもチェックがついたら、歯周病の可能性があります。歯科医院を受診しましょう!
歯周ポケット検査
当医院では歯の精密検査を行っており、その検査には歯周ポケットの計測も含まれています。
■歯周ポケットが~3mm程度の場合
健康な歯肉です。 しかし、歯周病は自覚症状がないまま進行することが多いため定期的な歯科医院の受診をおすすめします。
■歯周ポケットが4~6mmの場合
軽度または中度歯周病の可能性があります。
歯を支えている骨(歯槽骨)が減ってきている可能性があります。
重度の歯周病になる前に治療を開始しましょう!
■歯周ポケットが7mm以上の場合
重度の歯周病の可能性があります。
歯を支えている骨(歯槽骨)が溶け、歯のぐらつきや口臭などの自覚症状もあるのではないでしょうか?
早急に歯科医院を受診し、歯周病治療を行いましょう!
重度の歯周病とは?
⇒歯周病重度の治療例はコチラ
歯周病は気付かない間に進行してしまい、重度の歯周病では歯を抜かなければいけなくなる可能性もあります。
セルフチェックにチェックが付いた方は歯科医院で精密な検査を行いましょう。
※精密検査は自費診療11,000円です
軽度歯周病の流れ
検査の結果、歯周病治療が必要となった場合には、下記の画像のような流れで治療を行っていきます。
1.歯科衛生士による歯周基本治療
歯科衛生士によるブラッシング指導や、歯垢・歯石の除去を行います。
歯科衛生士によって歯垢や歯石を除去できても、患者様ご自身の歯ブラシがしっかりとできていないと、またすぐに歯垢や歯石がついてしまいます。
歯垢や歯石は細菌の塊で歯周病の原因となります。歯科衛生士から患者様ひとりひとりに合った歯磨きの仕方をお伝えしますのでご安心ください。
2.ロイテリ菌摂取
歯周基本治療でプラークや歯石の除去をしながらロイテリ菌を摂取していきます。
ロイテリ菌は薬ではないため効果は緩やかで即効性はありません。ロイテリ菌が定着するのに少なくとも3ヵ月は毎日摂取するのがおすすめです。一度に沢山摂取するよりも1日1回で良いので継続して摂取する方が効果的です。
3ヵ月摂取後、費用的に負担が大きい場合は2~3日に1回摂取していただくと効果が持続しやすいです。
ロイテリ菌を用いた歯周病治療の研究では3ヶ月間の1日2回摂取で6ヶ月後にもロイテリ菌が口腔内から検出されたと報告があります。
3.歯科衛生士による非外科歯周治療
歯肉縁下歯石と呼ばれる歯茎の中に歯石が沈着している場合は、健康な組織をできるだけ傷つけないように丁寧に除去していきます。
歯茎の内側の歯の根につく歯石のため、除去する際に痛みがある場合があります。
痛みがある場合や、痛みに弱い方は麻酔をして除去することも可能です。強力な表面麻酔を用いて麻酔の痛みにも最大限に配慮しております。
4.再評価
治療終了後、再評価検査を行います。これは再度歯周病検査を行うことで、治療前に行った検査の値から治療を経てどのくらい改善したのかを調べるため、またはどこが改善していないのか確認するために行います。
検査結果によって再度治療の計画を立て直し、外科的な処置が必要になる場合もあります。
再評価の結果に問題がない場合はメインテナンスへと移行していきます。
治療がひと段落しても歯周病は再発しやすい疾患です。
また、ロイテリ菌は補助的な役割になります。患者様ご自身の普段の歯磨きと歯科衛生士による定期的なメンテナンスで歯周病を予防していきましょう!
重度歯周病治療の流れ
重度歯周病の方は下の画像のような流れで治療を行っていきます。
1.細菌検査と歯科衛生士による歯周基本治療
重度歯周病の方は精密検査とプラスして歯周病細菌検査とコンビームCT撮影を受けていただきます。(自費診療:細菌検査¥16,500、CT撮影¥11,000)
細菌検査を受けていただくと重度歯周病の方は病原性が特に高いP.g菌(P.gingivalis)が見つかることが多々あります。現在は、P.g菌(P.gingivalis)の線毛の型も判別できます。(P.g菌2型は健常者に比べて歯周病のリスクが44倍です)
お口の中全体の精密検査と一緒に歯周病細菌検査を受けていただき、原因がどこにあるのかご自身で把握していただくことも治療を行なっていくうえで重要です。
検査後は歯科衛生士によるブラッシング指導や、歯垢・歯石の除去を行います。
歯科衛生士によって歯垢や歯石を除去できても、患者様ご自身の歯ブラシがしっかりとできていないと、またすぐに歯石がついてしまいます。
歯垢や歯石は細菌の塊で歯周病の原因となります。歯科衛生士から患者様ひとりひとりに合った歯磨きの仕方をお伝えしますのでご安心ください。
2.ロイテリ菌摂取
歯科衛生士による歯周基本治療として歯肉縁下歯石を除去しつつ、ロイテリ菌を摂取していきます。
ロイテリ菌は薬ではないため効果は緩やかで即効性はありません。ロイテリ菌が定着するのに少なくとも3ヵ月は毎日1日2回摂取するのがおすすめです。論文からも一度に沢山摂取するよりも継続して摂取する方が効果的です。
3ヵ月摂取後、費用的に負担が大きい場合は2~3日に1回摂取していただくと効果が持続しやすいです。
ロイテリ菌を用いた歯周病治療の研究では3ヶ月間の1日2回摂取で6ヶ月後にもロイテリ菌が口腔内から検出されたと報告があります。
3.歯科医師によるマイクロスコープ下での歯肉縁下歯石除去と歯周組織再生療法
重度歯周病の方は歯肉縁下歯石と呼ばれる歯茎の中の歯根に黒い歯石が沈着していることが多々あります。
この歯肉縁下歯石は歯茎の中の奥深くについているため、マイクロスコープと呼ばれる歯科用の拡大鏡を使用しないと除去することが難しく、その際に歯茎を切り開く外科的な処置が必要になることもあります。
細菌検査で悪性の高い歯周病菌が検出され、歯周病が進行してしまっている場合、抗菌薬を処方して悪玉菌が減った状態で一度に全ての歯の歯垢と歯石を除去するフルマウスディスインフェクション(FMD)を行うこともあります。
また、歯周組織再生療法とは、歯周病によって失われた骨などの歯周組織の再生を促す治療です。歯周組織の再生を誘導する薬剤を使用することで溶けてしまった骨などの再生させます。
抗菌療法と呼ばれる抗生物質を飲んで歯周病菌を退治する治療が必要になる場合には、ロイテリ菌も除去されてしまう可能性がありますので抗菌薬の処方中はロイテリ菌の摂取はお休みしていただきます。抗菌薬とフルマウスディスインフェクション(FMD)によって悪玉菌が少なくなっている状態で再度ロイテリ菌を摂取すると善玉菌であるロイテリ菌が定着しやすいので効果的です。
4.再評価
治療終了後、再評価検査を行います。これは再度歯周病検査を行うことで、治療前に行った検査の値から治療を経てどのくらい改善したのかを調べるために行います。
検査結果によって再度治療の計画を立て直す必要がある場合もあります。
結果で問題がない場合は補綴治療やメインテナンスへと移行していきます。
治療がひと段落しても完全に終了したわけではありません。歯周病は再発しやすい疾患です。
ご自身の歯ブラシと歯科衛生士による定期的なメインテナンスでプラークコントロールを行い、歯周病を予防していきましょう!
当院は完全予約制です。
予約や相談をご希望の方は、
お気軽にお問い合わせください。
ロイテリ菌の歯周病治療への応用
歯周病の治療にはプラークコントロール(虫歯や歯周病の原因となる歯垢(プラーク)を取り除き、細菌の数を減らすこと)が一番重要です。そこにプラスしてロイテリ菌の摂取が歯周病に効果があることが報告されています。
慢性歯周炎患者の治療に対してロイテリ菌入りのタブレットを摂取させ、補助的な効果があるかを調べた2015年の研究報告では、3か月間、1日2錠摂取により6か月後歯周ポケットからロイテリ菌が検出され、1年後の歯周ポケット内の偏性嫌気性菌の総菌数も有意に減少したと報告されています。(Merve Tekce et al. 2015)
このことから臨床的、細菌学的転帰を考慮すると継続してロイテリ菌を摂取することは、口腔内に対して有益な効果があると言えます。
2016年のシステマティックレビュー(論文を漏れなく検索すること)&メタアナリス(集めた論文を統合して解析すること)でも慢性歯周炎の治療においてSRP(スケーリング・ルートプレーニングの略:歯根表面の感染物質を除去して綺麗にすること)にロイテリ菌を補助的に使用することが有効であると報告されています(Martin-Cabezas R et al. 2016)
歯周病治療の補助療法を行う背景として、次のような流れがあります。
- 歯周病は、歯周病原細菌が増加し、細菌叢に変化が起こり、常在菌の抑制と宿主の感受性が高まることにより発症します。(Socransky &Haffajee 1992)歯周病は、口の中の細菌叢と宿主の免疫力とのバランスが崩れることにより引き起こされるのです。
- 歯周病の基本的な治療は、主に直接的なデブライトメント(歯根表面を物理的に郭清すること)により歯根表面のバイオフィルム(細菌が作り出した膜)と細菌の塊を除去することです(Rhemrev et al.2006).
- 直接的なデブライトメント(スケーラーという器具によって歯根表面を綺麗にすること)でさらなる歯周組織の破壊を防ぎ、もとの細菌叢に戻すことにより、歯周組織は改善される。結果として炎症が減少し、アタッチメントレベル(歯と歯茎がくっつく位置のこと)が増加します。(Sbordone et al. 1990, Petersilka et al. 2002, Claffey et al.2004).
- 直接的なデブライトメント(スケーラーという器具によって歯根表面を綺麗にすること)により歯周病原菌は減少するが、短時間で再度コロニー(細菌の塊)を形成することがわかっている(Magnusson et al. 1984, Haffajee et al. 1997).
- 再コロニー形成(細菌が集まって塊を作ること)は、SRP(スケーリング・ルートプレーニングの略:歯根表面の感染物質を除去して綺麗にすること)の直後から開始される(Magnusson et al. 1984, Quirynen et al. 2005).
- プロバイオティクス(人体に良い影響を与える生きた微生物、またはそれらを含む製品・食品のこと)である乳酸菌種のロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌) はreuterin(ロイテリン)を生成し、有害な菌の増殖を防ぐことで健康な微生物叢の維持に役立つことがわかっている。(Jones & Versalovic 2009).
- ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)は他にも有益な性質をもっており、 腫瘍壊死因子α、インターロイキン8、インターロイキン1βなどの炎症性メディエーターを抑制する働きがあることがわかっている(Twetman et al. 2009).
参考文献:
Clinical efficacy of probiotics as an adjunctive therapy to non-surgical periodontal treatment of chronic periodontitis: a systematic review and meta-analysis.
Martin-Cabezas R, et al. J Clin Periodontol. 2016. PMID: 26970230 Review.
Clinical and microbiological effects of probiotic lozenges in the treatment of chronic periodontitis: a 1-year follow-up study
Merve Tekce, J Clin Periodontol. 2015 Apr;42(4):363-72.
以前は、抗生剤を3週間服用して頂くなど抗生物質で悪玉菌を殺菌しながら歯周病治療を行っていました。しかし、抗生剤の長期投与は腸内の善玉菌にも影響があります。ロイテリ菌を含めたプロバイオティクス(人体に良い影響を与える生きた微生物、またはそれらを含む製品・食品のこと)の登場により、現在では抗生剤の投与は最小限に抑えた歯周病治療を心がけています。
ロイテリ菌の歯科治療への応用の実際
当院では、歯周病治療にロイテリ菌を補助的治療として導入しています。
1999年の歯周病の旧分類から約20年ぶりに歯周病の新分類が発表されました。2017年に発表された新しい分類は、今まであった慢性歯周炎と侵襲性歯周炎の診断名が歯周炎として統一されました。この背景として、歯周病菌のPCR検査の普及によって歯周病を重症化させる悪玉菌の特定ができるようになりましたが、その悪玉菌がいるからといって必ずしも重症化するというエビデンスを立証できなかったからです。他にも様々な研究が行われてきましたが、歯周病の原因を特定できず、現在では歯周病は、患者様の免疫力や抵抗力も含めた多因子性の疾患として認知されています。
悪玉菌がいるからと言って必ず重度歯周炎に罹患するというわけではありませんが、細菌学的にリスクが高い患者様がいることは事実です。当院では、歯周病精密検査を行い、重度歯周病と診断した患者様には歯周病細菌検査をお勧めしています。ここで歯周病の悪玉菌が検出された患者様には、ロイテリ菌の摂取を提案しています。以前は、抗生剤を3週間服用して頂くなど抗生物質で悪玉菌を殺菌していました。しかし、抗生剤の長期投与は腸内の善玉菌も殺してしまいます。現在では、抗生剤の投与は最小限に抑えて、ロイテリ菌を摂取してもらっています。
ロイテリ菌の摂取のタイミングは、就寝前の歯磨きの後にロイテリ菌入りタブレットを1錠舐めて溶かしてもらってそのまま寝て頂くのがお勧めです。
ロイテリ菌の定着に影響を与える可能性のある歯磨き粉やうがい薬はできるだけ使用しない方がベストです。どうしても歯磨き粉やうがい薬を使用したい場合は、使用してから30分程度時間を空けてからロイテリ菌を摂取するのが良いと思います。
ロイテリ菌を摂取したから急に歯周病が良くなることはありません。歯周病治療の基本は、プラークコントロールと直接的なデブライドメント(歯歯根表面に沈着した感染物質を除去すること)です。ロイテリ菌は、あくまで補助的なものだと考えて下さい。
ロイテリ菌・プロバイオティクスQ&A
ロイテリ菌・プロバイオティクスでよく寄せられるご質問にお答えしていきます。
プロバイオティクスとは?
プロバイオティクスとは、人体に良い影響を与える生きた微生物、またはそれらを含む製品・食品のことです。プロバイオティクスの条件として次のことが挙げられます。
プロバイオティクスの条件
- 安全性が保証されていること
- ヒト由来の常在微生物であること
- 生菌であること
- ヒトに対して有効であること
- 胃酸や胆汁酸に耐性があること
- 食品などの形態で有効な菌数が維持できること
バクテリアセラピーとは?
バクテリアセラピー(微生物療法)とは、ヒトに対して有益であることが科学的に証明されている善玉菌を利用して、病気の予防や治療を行うこと。
バクテリアセラピーの利点
- 副作用のリスクがほぼ無いので新生児から高齢者、妊婦でも取り組めます
- 体内に棲みついた善玉菌が増殖すると持続的な効果が期待できる
- 薬との併用が可能
バクテリアセラピーの欠点
- 即効性が低い(善玉菌が増殖するまで数日から数週間以上かかる)
- 効果がわかりづらく、緩やかに現れる
- 発熱や炎症などの急性症状には不向き
ヒトの常在菌の質や善玉菌と悪玉菌のバランスの違いが健康を左右することがわかっており、病気の治療や予防を善玉菌の力を利用して実践する医療技術をバクテリアセラピー(微生物療法)と言います。
人生100年時代、バクテリアセラピー(微生物療法)で常在菌のバランスを整えて、健康寿命を延ばしましょう。
ロイテリ菌とは?
ロイテリ菌は、ヒトの母乳由来の善玉菌です。正式な名称は、Lactobacillus reuteri(ラクトバチラス・ロイテリ)と言い、もともと人の体内に住んでいて、腸内フローラの一端を担っている善玉菌なので副作用のリスクがほぼ無いのが特徴です。
様々なプロバイオティクス(人体に良い影響を与える生きた微生物、またはそれらを含む製品・食品のこと)が報告されていますが、現時点で確かなエビデンス(科学的根拠)があるのがロイテリ菌です。
口の中では唾液が、 ロイテリ菌の主な生息地ですが、歯肉縁下(歯と歯茎の隙間の中)でも観察されることがわかっています。歯肉縁下プラーク(歯茎の中にある歯垢)中のロイテリ菌の検出から歯科治療での応用が検討されてきました。
ロイテリ菌の特徴
ロイテリ菌の善玉菌の特徴とは、ヒトの母乳由来の乳酸菌で新生児の腸内に最初にコロニー(集合体)を作り、体内の毒素をもつ菌に対して抑制力を示し、下記のような特徴があります。
- ヒト由来の定着性と安全性、全身疾患に応用できる多機能性を備えている
- 天然抗生物質ロイテリンをつくる優れた力がある
- 免疫システム全体に働きかける力がある
- 反作用・副作用のリスクがほぼ無い
- 国際的な臨床実績とエビデンス(科学的根拠)の確かさがある
ロイテリ菌は、優れた病原菌抑制作用をもち、有益な菌には一切影響を与えないことがわかっています。
ロイテリ菌の効果、効能とは?
Lactobacillus属(乳酸菌)の中でロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌) はreuterin(ロイテリン)を生成し、有害な菌の増殖を防ぐことで健康な微生物叢の維持に役立つことが報告されています。(Jones & Versalovic 2009).
ロイテリ菌は他にも有益な性質をもっており、 腫瘍壊死因子α、インターロイキン8、インターロイキン1βなどの炎症性メディエーターを抑制する働きがある(Twetman et al. 2009).
ロイテリ菌の効果については、即効性がないので摂取してもから急激な改善や効果を感じることは少ないと思います。ただ口臭や起床時の口の中のネバネバ感を自覚されている方や便秘や下痢時などの症状がある方は、数日から数週間で効果を感じられます。
ロイテリ菌の副作用は?
ロイテリ菌の副作用:ロイテリ菌は人の母乳由来の善玉菌なので、副作用のリスクがほぼありません。
抗生物質は病原菌を死滅させてくれますが、悪玉菌だけでなく善玉菌にも影響を及ぼします。ロイテリ菌は、天然の抗生物質であるロイテリンを産出し、虫歯菌や歯周病菌などの悪玉菌だけを攻撃する特性があります。さらに抗生物質の働きを助けて、治療効果を高める作用もあります。
様々なプロバイオティクスが発売されていますが、現時点で確かなエビデンス(科学的根拠)があるのはロイテリ菌だけと言ってもいいと思います。ロイテリ菌の効果を証明する論文もたくさんあります。中には有意差がなかった(明らかな効果があったということを証明できなかった)という論文もありますが、ロイテリ菌を摂取した方が良くなかったというマイナスの報告は見たことがないため、摂取することのデメリットはないと考えています。
ただロイテリ菌は、補助的なものなのでロイテリ菌の摂取だけで、歯周病や虫歯が治るというわけではありません。歯科医院を受診して虫歯治療や歯周病治療と併用する必要があります。
ロイテリ菌を含むプロバイオティクス(人体に良い影響を与える生きた微生物、またはそれらを含む製品・食品のこと)は、Biogaia(バイオガイア)またはOHAYO(オハヨー)の製品になります。インターネットでも購入できるので、ホームページをご覧下さい。
https://www.biogaia.jp/index.html
https://shop.ohayo-reuteri.com/
ロイテリを摂り過ぎるとどうなりますか?
L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)を含むプロバイオティクス(口腔・胃・腸内などに定着する細菌療法のこと)のサプリメントは、人体にとって安全なことがわかっています。
しかし、L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)を過剰に摂取した場合、何らかの副作用が発生する可能性もあるため、新しいサプリメントを摂取する際は歯科医師に相談することをお勧めします。
L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)を過剰に摂取した場合に起こりうる副作用には、以下のようなものがあります
胃腸の症状: 胃腸症状:L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)の過剰摂取は、膨満感、ガス、下痢、便秘のような胃腸の問題につながる可能性があります。これらの症状は通常軽度であり、投与量を減らすか、サプリメントを中止すれば自然に治ります。
アレルギーの反応: まれではありますが、L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)やサプリメントに含まれる他の成分に対してアレルギー反応を起こす方がいます。アレルギー反応の兆候には、皮膚の発疹、かゆみ、呼吸困難が含まれる場合があります。アレルギー反応が疑われる場合は、すぐに医師か歯科医師に連絡してください。
感染症: 免疫力が低下している方や基礎疾患をお持ちの方は、ロイテリを含むプロバイオティクス(口腔・胃・腸内などに定着する細菌療法のこと)を大量に摂取することで、感染症を引き起こしたとの報告もあります。しかし、このリスクはかなり低く、ロイテリ菌による感染症は非常に稀です。
まとめると、副作用を引き起こすロイテ菌の摂取量に関するエビデンス(科学的根拠)はなく、ほとんどの研究は患者さんの健康状態に対する摂取量と善玉菌の組み合わせに焦点を当てています。
L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)を過剰に摂取すると副作用が発現する可能性がありますが、重篤な副作用のリスクはほぼ無くL.ロイテリ菌を摂取できると考えられます。そもそも短期間に大量に摂取する必要はなく、研究でも1日2回3ヶ月間の摂取を推奨しています。
善玉菌の定着の観点からも少ない摂取量でも継続することが大事だと考えられます。私自身や子供、両親には1日1回摂取を3、4年前から継続しています。皆様の摂取の目安にしていただければ幸いです。
ロイテリ菌による口臭改善と歯周病治療への応用
近年、マスクを着用する機会が多くなり、自分の口臭に気付く方が増えています。口臭の改善は、ロイテリ菌を利用したバクテリアセラピー(微生物療法)のよく見られる兆候です。歯周病や内臓疾患がある場合には、ロイテリ菌を摂取しただけでは口臭はよくなりませんが、ロイテリ菌を併用して治療をすると口臭が改善します。
また起床時にあった口の中のネバネバ感がなくなったとおっしゃられる方もよくいらっしゃいます。ロイテリ菌によるバクテリアセラピー(微生物療法)は即効性が少ないため、すぐに効果を感じにくいですが、口臭の改善と口の中のネバネバ感の消失はロイテリ菌の効果を実感しやすい兆候です。
歯科医院でのロイテリ菌の処方
歯科医院でバクテリアセラピー(微生物療法)として、プロバイオティクス(人体に良い影響を与える生きた微生物、またはそれらを含む製品・食品のこと)の一つであるロイテリ菌入りのタブレット(錠剤)を処方することがあります。
現在は、PCR検査により口の中の病原性の高い歯周病原菌を特定できます。病原性の高い悪玉菌が検出された場合は、歯周病のリスクが高まりますので、当院では積極的にロイテリ菌を処方しています。
ロイテリ菌入りのプロバイオティクス(人体に良い影響を与える生きた微生物、またはそれらを含む製品・食品のこと)は、個人購入もできますので、Biogaia(バイオガイア)またはOHAYO(オハヨー)のホームページをご覧下さい。
ロイテリ菌の摂取は歯磨きの後がベスト!
ロイテリ菌を摂取するタイミングはいつでも良いと考えていますが、より良い摂取のタイミングは歯磨きをして虫歯菌や歯周病菌である悪玉菌が少なくなった時です。歯磨き粉や洗口剤の種類によっては、ロイテリ菌を減少させてしまう可能性があるので、歯磨き粉や洗口剤は使用しない方が良いと思います。
もし洗口剤を使用するのであれば、洗口剤を使用してから30分程度時間を空けてからロイテリ菌を摂取するのが良いでしょう。
ロイテリ菌の摂取方法
成人がロイテリ菌を定着させるのであれば、夜の歯磨きの後に洗口剤を使用せずにBiogaia(バイオガイア)かOHAYO(オハヨー)のタブレットタイプの製品を1日1粒口の中で溶かしてから寝るのがお勧めです。成人の場合は、高年齢になるほど細菌叢が確立されているためロイテリが定着しにくいはずです。毎日、継続してロイテリ菌を摂取することをお勧めします。
乳幼児であれば、母乳をあげるときに乳首にリキッドタイプ(液体タイプ)をつけてあげるのが良いです。子供には、朝ご飯やフルーツにリキッドタイプ(液体タイプ)を3、4滴垂らして摂取するのが良いでしょう。リキッドタイプ(液体タイプ)には、無味無臭のタイプとミント味がありますが、子供には無味無臭のタイプがお勧めです。
ロイテリ菌は、ヒトの母乳由来の善玉菌ですので、乳幼児でも高齢者でも副反応や副作用のリスクはほぼありません。ロイテリ菌は、0歳からでも取り入れられるバクテリアセラピー(微生物療法)です。特に細菌叢が確立していない乳幼児や子供からロイテリ菌を摂取して、バランスの良い口腔フローラや腸内フローラを獲得することで、免疫力が高く、病気になりにくい身体をつくることができます。
ロイテリ菌の歯磨き粉を使用するメリット
歯磨き粉を使用するメリットは、フッ素による再石灰化を始めとする虫歯予防の効果が期待できることです。歯磨き粉の種類によっては、ロイテリ菌を減少させてしまう可能性があるので、ロイテリ菌を摂取する場合は歯磨き粉をつけないで歯磨きをした方が良いと思っています。(エビデンスはありませんが、私自身はそうしています)
虫歯傾向の強い方は歯磨き粉に含まれるフッ素の効能を取り入れた方が良い場合もあると思いますので、担当の歯科衛生士と相談することをお勧めします。
最近、Biogaia(バイオガイア)からロイテリ菌入りの歯ブラシが発売されました。これからは歯磨き粉ではなく、ロイテリ菌をつけて歯磨きをする時代が来るかもしれません。
ロイテリ菌で歯周病は治るの?
現在までに行われている研究で、ラクトバチルス・ロイテリ菌は、口腔内を含む人間の健康に対して様々なメリットが報告されている善玉菌です。L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)(ラクトバチルス・ロイテリ菌)が歯周病の治療にも有益であることも報告されています。
いくつかの研究では、L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)を含むプロバイオティクス(口腔・胃・腸内などに定着する細菌療法のこと)を歯周病治療と併用することで、炎症、ポケットの深さ、プロービング時の出血の減少などの臨床結果が改善する可能性があることが報告されていますが、L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)が歯周病を治すと断定できるほど、エビデンス(科学的根拠)はまだ強力ではありません。歯周病に対するロイテリ菌の治療効果、投与量、投与期間については研究が続けられています。
歯周病の治療には、専門家による歯科治療と、定期的なブラッシングやフロッシング、歯科検診・メインテナンスなどの口腔衛生習慣が重要です。歯周病に罹患した場合、または口腔の健康のためにプロバイオティクス(口腔・胃・腸内などに定着する細菌療法のこと)の使用を検討している場合は、歯科医師に相談し、アドバイスや治療の選択肢を得ることをお勧めしています。
ロイテリ菌は虫歯予防に効果ありますか?
はい、プロバイオティクス(口腔・胃・腸内などに定着する細菌療法のこと)細菌の一種であるラクトバチルス・ロイテリ菌が、虫歯(う蝕)のリスクを減らす可能性を示唆するいくつかのエビデンス(科学的根拠)が存在します。口腔の健康、特に虫歯と歯周病にL.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)がどのようなメリットがあるかを探るために様々な研究が実施されています。
2013年に発表されたランダム化比較試験では、L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)を含むロゼンジが、唾液中の虫歯菌であるミュータンス菌(Streptococcus mutans)の量を低下させることが実証されています。(Cagetti et al.2013)
2012年に発表された別の研究では、L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)の摂取により、中等度から重度の歯周病患者の歯肉炎と歯垢が減少したことが示されています(Vivekananda et al.2010)
これらの研究は、口腔の健康に対するロイテリのポジティブな効果を示していますが、ロイテリの摂取とう蝕リスクの低減との間に明確な因果関係を立証するだけの十分なエビデンス(科学的根拠)はまだありません。
虫歯(う蝕)予防にL.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)を使用する最も効果的な方法を決定するには、より大規模で長期的な研究が必要です。
結論として、L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)が虫歯(う蝕)リスクの低減に役立つことを示唆するいくつかの証拠がありますが、これを確認するためにはさらに研究が必要です。
ブラッシングやフロスなどの口腔衛生習慣を維持し、定期的な検診やメインテナンスを受けることが、虫歯(う蝕)を予防する最善の方法です。L.ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)に一定以上の効果はありますが、補助的なものであると考えて下さい。
ロイテリ菌は人の母乳由来なので体内に定着しやすい菌です。
大人になって細菌叢が確立してからロイテリ菌を摂取するよりこれから細菌叢が作られていく乳児や幼少期にこそ効果が高いと感じています。
ロイテリ菌が定着すると虫歯菌や歯周病菌などの悪玉菌の割合が減るので虫歯になりにくくなります。
ロイテリ菌は副作用や反作用のリスクがほぼありませんので0歳児から与えることか出来ます。
赤ちゃんの夜泣きを軽減し、腸内細菌叢を良くする効果があるのでお勧めです。
個人的には、味が変わってしまうミント味ではなく、無味無臭の液体(リキッド)タイプを食後のフルーツなどに3、4滴垂らして与えることをお勧めしています。
https://reuteri.shop-pro.jp/?pid=128566090
ロイテリ菌は口内炎に効きますか?
ロイテリ菌を摂取すると口内炎が改善するという論文を現時点で私は見たことがないので、口内炎に対してロイテリ菌が効果的かわかりませんが、プロバイオティクス(人体に良い影響を与える生きた微生物、またはそれらを含む製品・食品のこと)には副作用のリスクがほぼ無いのでロイテリ菌を摂取することが口内炎に悪影響を示すことはないと思います。
ロイテリ菌は舌苔に効きますか?
ロイテリ菌を摂取すると舌苔の量が改善するという報告を現時点で私は見たことがないので、舌苔に対してロイテリ菌をお勧めすることはできませんが、口臭の改善がロイテリ菌のよく見られる効果ですので、口臭に関与している舌苔にも良い影響があるのかもしれません。
ロイテリ菌などのプロバイオティクス(人体に良い影響を与える生きた微生物、またはそれらを含む製品・食品のこと)には副作用のリスクがほぼ無いのでロイテリ菌を摂取することが舌苔に悪影響を示すことはないと思います。
ロイテリ菌入りのヨーグルトは効果がありますか?
オハヨーのヨーグルトは、バイオガイア社が特許を持っているロイテリ菌を使用していており、プロディンティスのタブレットと菌株は一緒なので同じ効果を期待できます。
他社の製品はわかりませんが、せっかくプロバイオティクスを摂取するのであればしっかりとしたエビデンス(科学的根拠)がある製品が良いのではないでしょうか。
オハヨーのヨーグルトには、生きたロイテリ菌(DSM17938株)が2億個含まれており、砂糖はもちろん香料や安定剤は含まれていないのでお勧めです。
ロイテリ菌入りヨーグルトをいつ食べると良いですか?
ロイテリ菌入りのヨーグルトを食べるタイミングは、いつでも良いと考えていますが、一度に大量に食べても継続した効果は望めないので、一日一個がよいと思います。
ロイテリ菌とL8020の違いとは?
乳酸菌(ラクトバチルス属)には様々な菌株が存在しています。
L8020株はラクトバチルス・ラムノーザス菌L8020株の略称でロイテリ菌と同じ乳酸菌種(ラクトバチルス属)の菌株の一つで、ロイテリ菌とは別の菌株です。日本で購入できるロイテリ菌の菌株はプロティクス(DSM 17938)、ガラトラス(DSM 17938、ATCC PTA6475)、プロデンティス(DSM 17938、ATCC PTA5289)の3種類です。
ロイテリ菌は、バイオガイアが特許を取得しているため、BioGaia(バイオガイア)の製品もしくはBioGaia(バイオガイア)の正規のロイテリ菌を使用しているOHAYO(オハヨー乳業株式会社)のロイテリヨーグルトにしか含まれていません。
L8020株も乳酸菌のプロバイオティクスですが、現時点ではロイテリ菌の方が研究報告や論文が多く、エビデンスレベル(科学的根拠の水準)の高いと言えるため、バイオガイアの製品もしくはロイテリ菌が含まれるOHAYO(オハヨー乳業株式会社)のサプリメントやロイテリヨーグルトをお勧めします。
https://www.biogaia.jp/reuteri/
https://reuteri.shop-pro.jp/
https://shop.ohayo-reuteri.com/tablet/
https://www.ohayo-milk.co.jp/yogurt_e/13003.html
ロイテリ菌入りのサプリメントの種類は?
現在、日本で購入できるロイテリ菌入りのサプリメントは、Biogaia(バイオガイア)かOHAYO(オハヨー)の製品になります。どちらの製品もBiogaia(バイオガイア)のロイテリ菌の菌株であるプロティクス(DSM 17938)を使用しているので、どちらも優れたプロバイオティクスだと言えます。
ロイテリ菌のサプリメントには、タブレットやリキッドタイプがあります。子供や成人であれば口の中で溶かして摂取するタブレット、乳幼児には食事に2、3滴垂らして摂取できるリキッドタイプがお勧めです。
ロイテリ菌はバイオガイアの国際特許
ロイテリ菌のいくつかの菌株が発見・研究されていますが、ロイテリ菌のどの菌株もBiogaia(バイオガイア)が特許を取得しています。Biogaia(バイオガイア)からタブレットやリキッド、歯ブラシなど様々な形状のプロバイオティクスが販売されています。
OHAYO(オハヨー)のロイテリ乳酸菌サプリメントもBiogaia(バイオガイア)のロイテリ菌を使用しているので同じ効果が期待できます。
ロイテリ菌のタブレットの効果は?
ロイテリ菌を定着させるためのサプリメントとして一般的なのはタブレットタイプです。ロイテリ菌の効果として、口腔フローラや腸内フローラのバランスを整えることで免疫力を高め、健康の維持増進が期待できます。歯周病に関しては、2016年のシステマティックレビュー(論文を漏れなく検索すること)&メタアナリス(集めた論文を統合して解析すること)でも慢性歯周炎の治療においてSRP(スケーリング・ルートプレーニングの略:歯根表面の感染物質を除去して綺麗にすること)にロイテリ菌を補助的に使用することは有効であるとされています(Martin-Cabezas R et al. 2016)
他にも虫歯の予防、口臭の改善、便秘・下痢の改善、免疫力のアップと炎症抑制、感染症の予防、花粉症などのアレルギーの改善、ピロリ菌の抑制、カンジダ菌の抑制、母乳の質向上、赤ちゃんの夜泣きの改善など、様々な有益な効果があることがわかっています。
ロイテリ菌は、ヒトの母乳由来の乳酸菌ですので、0歳からでもバクテリアセラピーを始めることができるのです。
ロイテリ菌のカンジダ症への効果は?
カンジダ菌は、常在菌のひとつで増殖するとカンジダ症を引き起こします。特に高齢者によく見られ、摩擦の多い皮膚がただれる皮膚カンジダ症、口角炎や口の粘膜に苔状のものができる口腔カンジダ症、陰部にかゆみを感じる陰部カンジダ症などがあります。ロイテリ菌は増えすぎたカンジダ菌を抑制する働きがあります。
バイオガイアのホームページに研究の詳細が載っています。
https://reuteri-lab.jp/post/research
ロイテリ菌のアトピー性皮膚炎への効果は?
様々な要因が絡まり合って発症するアトピー性皮膚炎は、なかなか治らない厄介な病気ですが、アトピー性皮膚炎に対してもロイテリ菌の効果があります。ロイテリ菌を摂取するバクテリアセラピーを実施すると、発疹の面積が約3分の1に小さくなり、発症リスクが2.5分の1に低下したという報告もあります。
バイオガイアの学術情報ページにもアトピー性皮膚炎に有益な効果が認められたという論文が掲載されています。
ロイテリ菌による腸内フローラの改善は期待できるの?
ロイテリ菌は腸内フローラの改善にも効果を示すことがわかっています。
ヒトの免疫システムにはマクロファージなどの免疫細胞が活躍する自然免疫と、病原菌が体内に入ったときに抗体をつくり出して病原菌を攻撃する獲得免疫があります。免疫細胞の60%が腸に存在していて、腸には病原菌から身体を守る腸管免疫というシステムがあり、腸にいる免疫細胞が口から入った食べ物や栄養に反応して身体に良いものか悪いものかを判断しています。
ロイテリ菌のような善玉菌には免疫細胞を活性化する働きがあり、善玉菌が多いほど免疫システムは強化されます。逆に悪玉菌が増えると免疫力が低下して下痢や風邪などの感染症にかかりやすく、アレルギーを発症しやすくなります。
ロイテリ菌は下痢によく効きます。下痢で入院している乳児にロイテリ菌を与えるとプラセボ(同じ形をしたロイテリ菌が入っていないもの)に比べて何倍も回復が早く、治療日数も短縮できたという報告があります。
便秘に対してもロイテリ菌は効きます。便秘の乳児を対象に行なった研究では、ロイテリ菌を摂取すると4週間で100%の乳児の便秘が改善したと報告しています。
下痢や便秘の改善はロイテリ菌摂取の効果を感じやすい兆候です。便秘や下痢で悩まれている方は、副作用のリスクがほぼ無いロイテリ菌の摂取を是非試してみて下さい。
下痢や便秘は腸内細菌のバランスが崩れて起こります。日頃からロイテリ菌を摂取して常に良い腸内環境を保つことを意識しましょう
ロイテリ菌は子供やペットにも効果がありますか?
ロイテリ菌は子供の口内フローラや腸内フローラのバランスを整えます。生まれてきた時は無菌状態で母親から善玉菌を母乳から摂取しているので虫歯になりません。生後1〜2年が口腔内の善玉菌と悪玉菌のバランスを決めると言われているので、特にこの時期にロイテリ菌を摂取することは効果が高いです。
ロイテリ菌は、ヒトの母乳由来の乳酸菌の一種なので副作用のリスクがほぼ無いく、乳幼児にも摂取させられます。一生涯の細菌叢のバランスは、子供の時期に決まると言っても過言ではありません。
また赤ちゃんにロイテリ菌を摂取させたところ夜泣きがどんどん減っていたという研究報告もあります。是非、お子様のため、ご自身のためにもロイテリ菌を取り入れてみて下さい。
現在では、ペットに対してもロイテリ菌の効果があるという報告があります。
便臭の改善、口臭低下がわかりやすい効果であると言われています。犬から人への歯周病菌の感染も報告されていますので、愛するペットの健康とご自身への細菌感染防止を考えてロイテリ菌をペットに与えることも良いのではないでしょうか。
犬や猫に摂取させるペット用のロイテリ菌サプリメントが発売されているので、ペットを飼われている方にも試して頂きたいです。ペットのためご自身のためにも有益だと思います。
https://shop.ohayo-reuteri.com/pet/
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