削る量を最小限に!奥歯の虫歯治療、ダイレクトボンディング!

今まで治療した歯や詰めものが短い期間で取れたり欠けたり、また虫歯になったことはありませんか?

歯と歯の間に虫歯があるから、金属の詰め物の型取りをした方がいいと言われたことはないですか?

治療が終わったその日から、段差や引っかかりを感じたことはないですか?

治療をしてるはずなのに、どうしてこのようなことがたくさん起きているのでしょうか?

これらは、治療に用いている材料の特性だったり、材料と歯の性質の違いや、治療の環境などに原因があります。

特に虫歯になってしまった歯の最初の治療をどのような方法で行うかによって、その歯の未来が変わってしまうかもしれません。

あなたはご自身の歯をどうしてきたいですか?

そんな悩みをお持ちの方にご紹介したい治療方法がダイレクトボンディングです。

ダイレクトボンディングとは?

ダイレクトボンディングとは、従来の型取りして詰め物を入れるやり方と違い、最小限の削る量で虫歯を取り、特殊な樹脂や様々な器具を用いて直接詰め物を接着させる方法です。

「あれっ?それって保険治療でよくやる樹脂の詰め物と一緒じゃないですか?」

保険治療では、使える材料や器具に制約があり、保険点数が決まっているため時間的な制約も出てしまうのが現状です。自費治療のダイレクトボンディングであれば一番良い材料と器具を使用できるため、自分が患者だったらこうしてもらいたいと思える治療が提供できます。

接着の敵は水分です。口腔内は湿度が90%程度あるため、お風呂場で処置を行うようなイメージになってしまいます。ラバーダム防湿を行い、口の中と患歯を隔離して処置を行うことにより、実験室と同じような精度の高い接着が得られます。

長く歯科治療をしていると歯を削れば削るほど、歯の寿命が短くなってしまうことを実感します。ただ削る量を少なくしても虫歯を残してしまっては二次カリエス(虫歯の再発)となり、余計に歯の寿命が短くなってしまいます。そこで有効なのが歯間離開器を使用した虫歯治療です。僅かに歯と歯の間に隙間を一時的につくることにより最小限の侵襲で最大の効果を得ることができます。

また歯を長持ちさせるためには適合(フィット)も重要です。歯と詰め物に段差や隙間ができてしまうとプラーク(歯垢)が溜まり、これもまた二次カリエス(虫歯の再発)を引き起こしてしまいます。徹底的に虫歯を除去した後は段差や隙間ができないように拡大視野下で精密に樹脂を充填することが大事です。

術前の詰め物には段差ができてしまっていて、中からプラーク(歯垢)の塊が出てきます。この状態でどんなに歯ブラシを頑張っても汚れがきちんと取れません。歯を長持ちさせるためには治療後のような段差のない充填を行う必要があります。

ダイレクトボンディングではどのように治療を行っていくか気になりますよね?

実際にダイレクトボンディングの治療の流れを見ていきましょう!

ダイレクトボンディングの治療の流れ

ダイレクトボンディング治療前

歯と歯の間(隣接面)がマイクロクラック(歯に入ったヒビ)から虫歯になってしまいました。歯茎の近く(歯頚部)の詰め物も歯肉に乗ってしまって不適合です。

治療環境の準備(ラバーダム防湿)

歯と材料を化学的に接着させるためには、清潔かつ乾燥した環境が必要となります。そのためにラバーダム防湿を行い、リスクを抑えて清潔で乾燥した治療環境をつくります。

歯間離開器の設置

歯と歯の間にマンリキ(歯間離開器)を入れて、接していた歯と歯を一時的に動かし、僅かな隙間をつくります

プラーク(歯垢)の染め出し

綺麗な環境で処置を行うために歯垢染色液で汚れを染め出します

エアフローによるプラークアウト(歯垢除去)

染め出されたプラーク(歯垢)を歯を傷つけないパウダーで清掃します

虫歯の除去

マイクロクラック(歯に入ったヒビ)をつたって虫歯を除去していきます

う蝕検知液の塗布

虫歯の取り残しがないかう蝕検知液を塗布して、染色された虫歯を徹底的に除去していきます。マイクロスコープにより最大20倍の視野で虫歯を取り残さないようにできるだけエナメル質(外側の白い部分)を温存することが歯を長持ちさせるポイントです

前処理(エッチング)

虫歯を取りきったら歯と材料を接着させる為の前処理をしていきます。バイオフィルムやプラークを徹底的に除去後にまずはセレクティブエッチング(選択的な酸処理脱灰)でエナメル質だけを酸処理することにより接着力を増します。エッチングされているエナメル質は白く磨りガラス状になります。

プライミング・ボンディングの塗布

その後、プライミング(浸透)ぬれの向上、ボンディング(硬化)樹脂含浸層の形成といった接着処理をしていきます。この時に唾液に触れないことが重要なので、ラバーダム防湿は必須です。

隣接面の充填

隙間ができないようにミラーを駆使して気泡が入らないよう緊密に充填していきます。

歯と歯の間のキツさを正しく付与しないと物が詰まりやすくやったり虫歯になりやすい原因になってしまいます。当院ではマイクロスコープで拡大した視野かつ様々な器具を駆使して、ちょうどよいキツさと形態に詰めることができます。

光照射(重合)

歯間離開器の除去

フロスが程よいキツさで滑らかに通るか確認します。

ダイレクトボンディングで用いるのは、セラミック粒子が含まれた特殊な樹脂(ハイブリッド樹脂)になります。保険制度で使用できる樹脂と比較して、劣化のしにくさや強度、表面の艶やかさなどが違います。

特殊な光を当てると硬化する特殊な樹脂を使用しています。光がしっかりと当たっていないと未重合層ができて強度が落ちてしまいます。

隣接歯の虫歯治療

麻酔が効いている範囲に他にも虫歯があれば、同じように虫歯治療を進めていきます。精密検査の結果から診断し、できるだけ治療回数が少なくて最善の治療を提供できるように治療計画を立案しています。

まだ未治療の歯の虫歯治療は、最初の治療がその歯の寿命を決めると言っても過言ではありません。

歯の豊隆に合わせて天然歯の形態を模倣して樹脂を充填していきます。

歯頚部の充填

不適合な(段差のある)既存の樹脂を除去してから段差のないように樹脂を充填し直します。

ダイレクトボンディング治療後

歯を極力削らずに虫歯を取り切り、必要最小限の切削量で最大の効果が得られました。

上記治療の治療期間・費用・リスク等

治療期間 1日約2.5時間(説明、麻酔含む)

費用 ¥160,000(税込¥176,000)治療歯2本(⎾5 近心¥50,000、歯頚部¥30,000、⎾6 近心¥50,000、歯頚部¥30,000)
※自由診療になります

リスク・副作用等

  • 二次カリエス(再度虫歯になること)、
  • 食片圧入(ものがつまりやすくなること)
  • 知覚過敏(歯がしみること)や一時的な咬合痛(噛むと痛みがあること)、痛(歯ブラシで擦ったときに痛みがあること)、自発痛(何もしなくても痛みが出ること)
  • オールセラミックと比較すると若干の劣化がある
  • 噛み合わせが強い方は、欠けることがある
  • 基本的に1回で治療は終わるが、時間が1時間程かかり30分以上は開けたままのため、顎が疲れることがある

奥歯のダイレクトボンディングの治療期間・費用

奥歯のダイレクトボンディングの治療期間

中等度以下の大きさの虫歯であれば1回

神経に近い、および神経に到達してる虫歯の治療は2回に分ける場合があります。

(※歯髄温存療法を行なう必要がある場合は、虫歯治療のみ行ったあと、2~6ヶ月症状の経過をみてからダイレクトボンディングを行ないます。歯髄温存療法の費用は別途かかります)

奥歯のダイレクトボンディングの費用

奥歯

咬む面(咬合面)のみの虫歯:¥30,000 (税込¥33,000)
片方の隣接面を含むもの:¥50,000 (税込¥55,000)
両方の隣接面を含むもの:¥70,000 (税込¥77,000)

歯頚部(歯と歯茎の境目の横側のみ):¥30,000(税込¥33,000)

第二大臼歯の遠心(一番奥歯の裏側、親知らずがぶつかってできてしまった虫歯):¥70,000(税込:77,000)

※自由診療になります

リスク・副作用等

  • オールセラミックと比較すると若干の劣化がある
  • 噛み合わせが強い方は、欠けることがある
  • 基本的に1回で治療は終わるが、時間が1時間程かかり30分以上は開けたままのため、顎が疲れることがある

ダイレクトボンディングがオススメの歯

  • 初めての歯と歯の間の虫歯治療
  • 以前保険の樹脂で治療した歯の2次トラブルによる再治療
  • 金属の詰め物が入っている歯
  • 虫歯の入口は小さくて、中で大きく広がっている虫歯治療

ダイレクトボンディングにむかない歯

  • 奥歯の頭の山が無くなるほどに大きく削られている歯(セラミックの方がよりむいています)
  • 噛み合わせをしっかり構築したい歯
  • 歯冠形態がわからなくなってしまっている歯

ダイレクトボンディングのリスク、デメリット

セラミックと樹脂を混ぜたハイブリッド樹脂のため、型取りして入れるオールセラミックのように全く劣化しないわけではない

ダイレクトボンディングFAQ(よくある質問と回答)

Q. なんで型取りしないで詰めることができるの?

A. 当院ではマイクロスコープを用いて精密治療が行えること、ラバーダム防湿を行い歯と材料が化学的に接着しやすい環境を整えていること、そして歯の形や隣の歯とのきつさを付与するための様々な器具機材をそろえているためです。

Q. 保険治療の詰め物と何が違うの?

A.国民皆保険制度とは国民全員を公的医療保険で保障する制度です。最低限の治療は行えますが、最善の治療ではありません。保険制度に縛られなければラバーダム防湿下で虫歯の大きさに合わせた最善の器具や材料を使用できます。そして最善の環境で最善の材料を接着させることができ、2次虫歯を予防できるのです。

Q.ダイレクトボンディングはどのくらい長持ちするの?

A.セラミックではないので数年経つと材料が劣化し、変色や摩耗したり、詰め物が欠けたりしますが、ダイレクトボンディングはトラブルに対しての対応がしやすいことも長所です。全部詰め物を除去しなくても表面を削って詰め直したり、欠けた部分を修復したりと深い部分は外さずに外側で対応できることがほとんどです。

Q.どんな虫歯でもダイレクトボンディングをできますか?

A.ダイレクトボンディングは、基本的に生活歯(歯の神経が残っている歯)、咬頭(歯の尖っている頭の部分)が残っている歯に適応します。特に初めて虫歯治療を行う歯に対して有効です。保険治療で通常はインレー(部分的な金属の詰め物)になる場合もダイレクトボンディングであれば虫歯だけを除去し、白いセラミック樹脂で埋めることが可能です。