MTAセメントを使用して歯の神経を保護した80代女性H様の症例

大きな虫歯の治療をしていると、歯を削っていくうちに歯の神経が見えてくることがあります。
これを露髄(ろずい)と言います。
露髄するほど大きな虫歯の場合、歯の神経を抜く必要があるかもしれません。


歯の神経を抜いた歯は、歯の神経がある歯に比べて歯根破折が起きやすくなります。
歯根破折した歯は残すことが難しく、抜歯しなくてはいけません。
できるだけ歯の神経を残して治療したいですよね?
それでは、露髄した場合はどのような治療ができるのでしょうか。

今回は、大きな虫歯の治療中に露髄した80代女性H様の症例見てみましょう!

MTAセメントを使用した80代女性H様の症例

1日目

術前

MTAセメント治療前:被せ物の下で虫歯になっている歯

精密検査を行ったところ、被せ物の下で虫歯が進行していることが分かりました。

 

MTAセメント治療手順1:探針で虫歯を確認

探針(先の尖った器具)で触ってみると中が虫歯で溶けているのが分かります。

被せ物の除去

MTAセメント治療手順2:中の虫歯を治療するために被せ物を外す

金属の被せ物に穴を開けて被せ物を外していきます。

 

MTAセメント治療手順3:イージークラウンリムーバーを使用し、歯を傷つけずに被せ物を外している

今回はイージークラウンリムーバーという歯を傷つけずに被せ物を外せる器具を使用して外していきます。

虫歯の確認

MTAセメント治療手順4:被せ物を外し、中の虫歯を確認

被せ物を外すと中で大きく虫歯になっていました。

虫歯除去

MTAセメント治療手順5:う蝕検知液で虫歯を染め出し、歯茎の下まで虫歯になっていた歯

虫歯を取っていくと歯茎の下まで大きく虫歯になっています。緑色に染まっている所が、う蝕検知液で染色した虫歯になっている場所です。

歯肉除去

MTAセメント治療手順6:レーザーを使用し、歯茎を除去している

歯茎からの出血があるとコンポジットレジンの接着が阻害されるため、レーザーで歯茎を止血しながらカットします。

ラバーダム防湿・歯肉圧排

MTAセメント治療手順7:ラバーダムを装着し、ジンパックを挿入した歯

歯の神経に近い虫歯は、ラバーダムというゴムのシートを装着してから削ってきます。
ラバーダム防湿を行うと唾液からの細菌感染を防ぎ、唾液や呼気に触れることなく治療ができます。
ジンパック(歯肉圧排糸)を使用して、歯と歯茎を離すことで、歯のラインが見えるようになります。

MTAセメント治療手順8:う蝕検知液で虫歯を染め出し、深いところまで緑に染まっている歯

う蝕検知液で染め出してみると、深いところまで虫歯になっているのが分かります。

外側の虫歯除去

MTAセメント治療手順9:神経から遠い外側の虫歯から除去している

外側の虫歯から除去していきます。

隔壁

MTAセメント治療手順10:コンポジットレジンを使用し、隔壁を作成している

歯茎の際の虫歯を除去し、隔壁と呼ばれる壁をCR(コンポジットレジン)で作成します。
隔壁とラバーダム防湿により、無菌的環境を作ることができます。

歯の神経近くの虫歯除去

MTAセメント治療手順11:歯の神経に近いところの虫歯ををエキスカベータで除去している

歯の神経に近接している虫歯はエキスカベーターと呼ばれる耳かきのような器具を使用して丁寧に除去していきます。

神経の状態の確認

MTAセメント治療手順12:虫歯を除去していると歯の神経が露出し、出血してきている

エキスカベータ―で虫歯を除去していくと、露髄してきました。出血している所が歯の神経が見えてきているところです。

MTAセメント治療手順13:歯の神経の状態を診断している

マイクロスコープで確認しながら虫歯を除去していきます。
虫歯を完全に除去し、歯の神経の状態を確認します。
今回は歯の神経を残せると判断し、直接覆髄を行いました。

直接覆髄

MTAセメント治療手順14:歯の神経が見えている場所にMTA系デュアルキュア型覆髄材料を置いている

MTA系デュアルキュア型覆髄材料を使用し、直接覆髄を行いました。削った穴をコンポジットレジン(CR)で埋めます。

形成、仮歯作成

MTAセメント治療手順15:仮歯を入れるために歯の形を削っている

仮歯を作成するために歯の形を整えます。
このあと仮歯を入れ、痛みが出ないか経過観察を行いました。

2日目

3ヵ月経過観察をし、痛みが出なかったため補綴治療を進めていきます。

支台歯形成

MTAセメント治療手順16:ジンパックを歯茎に挿入している

ジンパックで歯肉を圧排し、被せ物の土台となる歯の形態を整えます。

被せ物の型取り

MTAセメント治療手順17:ジンパックを外している

歯と歯茎の間に入れていたジンパック(歯肉圧排糸)を外すと歯と歯茎の間に隙間が空いているのが分かります。

シリコン印象剤を使用した型取り

MTAセメント治療手順18:シリコン印象剤を歯に流している

シリコン印象剤を使用して型取りを行います。
ジンパックを使用することで、歯と歯茎の間に印象剤が入り、歯茎の下まで正確な型取りをすることができます。綺麗に型取りができていないと、適合のいい被せ物はできません。

3日目

仮歯を外す

MTAセメント治療手順19:仮歯を外している

仮歯を外します。

クリーニング

MTAセメント治療手順20:歯に残っているセメントを超音波スケーラーで除去している

仮歯を接着していたセメントを除去、クリーニングをします。

被せ物の調整

MTAセメント治療手順21:歯と歯のキツさを確認するため、ゴールドクラウンを歯に装着してフロスを通している

歯と歯の間のキツさや噛み合わせを調整します。今回はゴールドクラウンを被せていきます。

被せ物装着

MTAセメント治療手順22:ゴールドクラウンをレジンセメントで接着し、セメントを硬化させるためにLEDライトを照射している

レジンセメントでゴールドクラウンを接着します。

セメントアウト

MTAセメント治療手順23:被せ物から溢れだしたセメントを除去している

溢れだしたセメントを除去します。

噛み合わせ調整

MTAセメント治療手順24:装着したゴールドクラウンを研磨している

噛み合わせを調整、研磨して終了です。

術前術後

治療前の歯
術前
治療後の歯
術後
治療内容歯髄温存療法、補綴治療(Gold Cr)
費用歯髄温存療法 66,000円(税込)+補綴治療 143,000円(税込) ※自由診療になります
治療期間治療期間:約4ヶ月(経過観察を含みます)
来院回数:3回
リスク
副作用等
・自発痛、冷温痛が出る可能性
・歯髄の失活や不可逆性の歯髄炎を発症した場合は抜髄の可能性
・被せ物が外れる可能性
があります。

このようにH様は歯の神経が露出するほど大きな虫歯でしたが、歯の神経を残して治療をすることができました!
今回は精密検査を受けていただいたことで痛みが出る前に治療することができました。
何もしなくてもズキズキ痛い…。冷たい物や熱いものですごくしみる…。などの症状が出てからの治療は、歯の神経を残すことができない可能性があります。
定期的に精密検査メンテナンス(PMTC)を受けることも重要です。

当院は完全予約制です。
予約や相談をご希望の方は、
お気軽にお問い合わせください。

マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用した診療イメージ

マイクロスコープで20倍の拡大視野を使用した診療イメージ

マイクロスコープの20倍の拡大視野で観察すると、虫歯や歯石などを細かく観察できます。
※診療内容や治療部位によってはマイクロスコープを使用しない治療もあります。

歯科医師紹介

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金城 文乃

Kinjyo Akino

マイクロスコープ歴 14年

精密根管治療歴 14年

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小山田 晃樹

Oyamada Koki

マイクロスコープ歴 8年

精密虫歯治療 8年

...

行田 長隆

Kohda Nagataka

マイクロスコープ歴 17年

精密歯周外科歴 13年

アクセス

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     14:00~17:00
※現在、土曜日の診療予約が大変混み合っているため、初診で土曜日のみで治療をご希望の初診の患者様の予約をお受けすることができません。 丁寧な治療を維持するため、ご理解の程よろしくお願いいたします。

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  7. 技工所との連携

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