二日間で3本の歯を虫歯治療した症例(セラミック修復とダイレクトボンディング) 30代女性N様


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セラミック修復は、虫歯治療の際に歯の自然な外観を再現しつつ、歯を長持ちさせるための虫歯治療方法の一つです。
セラミック素材でできた補綴物を作成し、これを歯に接着して修復を行います。
この方法は特に審美的な治療に適しており、硬さが天然歯のエナメル質に近い硬さを有していため、 擦り減りにくく、表面が滑沢でプラーク(歯垢)が沈着しづらいため虫歯になりにくい修復物です。
今回は、二日間でマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用し、ラバーダム防湿下で同時に左上と左下の奥歯の虫歯治療を行いました。
治療の流れ
1日目

写真左側が左上、右側が左下の歯です。
左上5番目と6番目の歯の間が虫歯で黒くなっています。
5番目の歯はダイレクトボンディング、6番目の歯はセラミック修復を行うことになりました。
左下の6番目は銀歯が不適(被せ物の合いが悪いこと)のため、セラミックに換えていきます。
左上の虫歯の除去


左上の治療から進めていきます。
痛くないように麻酔を行い、ラバーダム防湿を行いました。


染め出しを使用してプラーク(歯垢)を染め出し、粉を吹き付けて汚れを落とします。


歯科用のドリルを使って既存の詰め物を外し、虫歯を除去していきます。
ダイレクトボンディング

エッチングと呼ばれる材料を使用し、酸で歯の表面に細かい凹凸を形成することでこのあと使用するCR(コンポジットレジン)との接着性を高めます。


左上5番の歯にダイレクトボンディングを行います。
マイクロスコープを見ながら針のように細い器具なども使用し、丁寧に詰めていきます。
特に歯と歯の間は段差がないように詰めないと虫歯になりやすくなるため注意が必要です。


メスで形を修正します。
左上5番の歯は治療終了です。
左上6番の歯はこのあと型取りを行うために形成(土台の歯の形を整えること)を行いました。
左下の虫歯の処置


続いて左下の治療を行います。
ラバーダムを付け、元々入っていた金属の被せ物を外します。

ジンパックという糸を歯と歯肉の間に入れていきます。
被せ物を長持ちさせるには歯と被せ物の間に段差がないことが重要です。
段差があると虫歯菌が入りやすくなり、二次カリエスになりやすくなります。
この処置を行うことで、一時的に歯と歯茎の隙間が生まれ、型取りの材料(シリコン印象剤)が綺麗に流れていきます。
セラミック型取り


シリコン印象剤を使用し、セラミックの型取りを行います。
よく型取りに使用されるピンク色の粘土のような材料(アルジネート印象剤)よりもシリコン印象剤の方が歪みが少なく型取りができるため、保険外の被せ物ではシリコン印象剤で型取りを行います。

綺麗に型取りができました。

仮蓋をして1日目は終了です。
被せ物の種類にもよりますが、1~2週間程度で出来上がります。
2日目

約1~2週間後に歯科技工士が作製してくれたセラミックを装着していきます。
セラミック装着


セラミックは接着が重要なため、ラバーダム防湿を行い唾液や呼気が入らない状態で装着していきます。汚れが付着したままだと接着を阻害するため、染め出しをしたうえで歯を傷つけないパウダーを使用して徹底的に汚れを落としていきます。


エッチングと呼ばれる材料を使用し、酸で歯の表面に細かい凹凸を形成することで接着性を高めます。
エッチングを洗い流した後、白く変化している部分が酸処理により細かな凹凸ができている部分です。


歯の表面処理、被せ物の内面処理を行い、レジンセメントで接着します。


余剰セメント(溢れたセメント)を除去します。


空気を遮断する材料を使用することで、未重合レジンが残らず硬化します。


左下も同様に装着しました。


ラバーダムを外し、溢れたセメントを除去します。
噛み合わせを調整し、研磨をして治療は終了です。

費用・リスク・副作用等

セラミック修復のメリット
- 自然な見た目: セラミックは歯とほぼ同じ色合いや透明感を持っており、非常に自然な仕上がりになります。
- エナメル質に近い硬度:硬さが天然歯のエナメル質に近いため、歯にマイクロクラック(亀裂)が入りづらい。
- 表面が滑沢:表面がツルツルしているので、プラーク(歯垢)がつきにくく、沈着したプラーク(歯垢)を除去しやすい。
保険治療では保険のルール上1日にできる治療が限られてきますが、自費治療はお時間を長く取り、少ない回数で治療が可能になるためお忙しい方にもおすすめです。