ウォーキングブリーチで前歯1本の変色が改善した40代男性A様の症例

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ウォーキングブリーチで前歯の変色が改善した40代男性A様の症例のご紹介をいたします。

ウォーキングブリーチで前歯の変色を改善した症例

40代男性A様、打診(±)自発痛(-)、右上1番(前歯)の再根管治療とウォーキングブリーチ(歯の神経の治療のやり直しと歯の中からのホワイトニング)を行った症例です。

約20年前に前歯をぶつけて歯の神経が失活して(歯の神経が死んで)しまい、神経を取る処置をされていた患者様です。

レントゲンでは根尖病変(神経の根の先に黒い影があること)はありませんが、根管充填が不十分だと診断しました。

大部分の歯は残っていたため、ウォーキングブリーチのメリット・デメリットを説明し、再度神経の治療を行った後に歯の中からホワイトニングをするウォーキングブリーチを選択しました。

ウォーキングブリーチ施術前

神経のない前歯が1本だけ変色しているため目立ちます。神経を抜くと経年的に歯が黒く変色してきます。

ウォーキングブリーチによって前歯の変色を改善していきます。

樹脂の除去

神経のない歯は、神経を抜くために開けた穴が歯の裏側にあり、樹脂で埋めてあることがほとんどです。できるだけ歯を削らないようにマイクロスコープで拡大しながら過去に充填された樹脂だけを削っていきます。

虫歯と汚染物質の除去

樹脂を除去すると中に虫歯や汚染物が確認できました。虫歯や汚れを残したままでウォーキングブリーチはできません。健康な歯質を残しながら丁寧に除去していきます。

ラバーダム防湿

中の深い部分を治療する際は、唾液の混入や薬剤の漏出を防ぐためにラバーダム防湿を行います。処置する歯だけを口の中から隔離することで安心・安全に神経治療とウォーキングブリーチを行えます。 ⇒ラバーダム防湿の詳細はコチラ

再根管治療

根管内(歯の神経の中)がかなり汚れていました。以前、中に入れた薬が感染源になっています。マイクロスコープを使用して汚染物を丁寧に除去していきます。

汚染された根管充填材の除去

根管から汚染された根管充填材を除去しています。症状がなくても中が汚れていることがあります。そのままにしていると根尖病変(神経の根の先に膿が溜まる病気)が起きてしまう可能性が高いです。

根管治療の術前・術後

レントゲンで見ると治療前は白く見える根管充填材に隙間があります。治療後は隙間なく緊密に薬が詰まっています。審美性も大事ですが、歯が長持ちする治療を心がけています。

緊密な根管充填

マイクロスコープで見ても緊密に根管充填(歯の根の中に薬を入れること)ができていることがわかります。今回はBCシーラー(抗菌作用があり、生体親和性が高いバイオセラミックの薬)で根管充填を行いました。

根管口の封鎖

ウォーキングブリーチの副作用として外部吸収が報告されています。外部吸収は象牙細管を薬剤が通ってセメント質や歯槽骨に及ぶことで発生します。歯の根の中にウォーキングブリーチの薬液が入らないようにマイクロスコープで確認しながら根管口を隙間なく樹脂で埋めます。

ウォーキングブリーチの薬剤塗布

過酸化水素が含まれるウォーキングブリーチ専用の薬剤を髄腔内(歯の神経が入っていた空洞)に塗布します。着色成分と薬剤成分が化学的に反応して歯が白くなるので、歯の表面側に塗布します。

入り口の封鎖

ウォーキングブリーチの薬剤が口の中に漏れ出ないように隙間なく樹脂で歯の裏側の穴を封鎖します。

ウォーキングブリーチ施術終了

最後に薬剤が漏れる隙間がないか確認をして終了です。3日〜7日後にウォーキングブリーチの薬剤を除去または交換します。

ウォーキングブリーチ終了後

治療回数:3回、期間:3週間、費用:55000円(ウォーキングブリーチ)、リスク:術後外部吸収する可能性があります

歯を削らずに最小限の侵襲で前歯の変色を改善できました。変色が残っている場合には、ウォーキングブリーチの薬剤を交換します。今回は、2回薬剤の交換を行いました。変色の改善の程度には歯の状態や個人差がありますが、ウォーキングブリーチにより歯が白くなることがほとんどです。

ウォーキングブリーチメリット・デメリット

メリット

・変色してしまった歯の色が改善する

・セラミック治療よりも期間と費用がかからない

・天然の歯を削らずに変色を改善できる

デメリット

・術後に外部吸収が起こる可能性がある