親知らずをインプラント代わりに歯牙移植 症例紹介1 S様20代男性

親知らずをインプラント代わりに自家歯牙移植したS様(20代男性)の症例紹介1です

親知らずをインプラント代わりに自家歯牙移植したS様(20代男性)の症例紹介1です。

親知らずの歯牙移植症例紹介1 S様20代男性

主訴:他院で右上6番を抜歯と診断された。歯の保存が可能かセカンドオピニオンを希望。

術前のレントゲンから歯の保存はかなり難しいと予想されたが被せ物を外してから最終判断とした。患者は20代で親知らずも残存していることから歯の移植も視野に入れて治療を開始。

親知らずの歯牙移植の流れ

歯牙移植STEP1 抜歯の診断

レントゲンで歯の保存が難しいと考えられる場合も被せ物を外して虫歯を除去して最終的な判断をします。フィステル(膿の出口)があり、残存歯質も少ないことから抜歯と診断しました。

歯牙移植STEP2 術前矯正

歯牙移植1 STEP2 術前矯正

歯の移植手術を行う計画を立案し、カウンセリングを行い、患者様の同意を得ました。親知らずの抜歯前に歯根膜を緩めるために歯間に矯正用のゴムを挟みます。

歯牙移植STEP3 移植手術

歯牙移植1 STEP3 保存不可能な歯の抜歯窩に後方にあった親知らず
歯牙移植1 STEP3 移植手術

保存不可能な歯の抜歯窩に後方にあった親知らずを移植します。CT撮影により術前に確認しておきますが、歯根の長さや歯冠形態が合わない場合は調整します。

歯牙移植STEP4 縫合

歯牙移植1 STEP4 縫合

歯を固定して生着するのを待ちます。アンキローシス(骨性癒着)を防ぐため、術直後は縫合糸で固定します。

歯牙移植STEP5 術後の固定

歯牙移植1 STEP5 術後の固定

術後4日後に消毒と抜糸を行い、接着剤で固定します。移植した歯で噛まないように気をつけて頂きます。

歯牙移植STEP6 根管治療

歯牙移植1 STEP6 根管治療

移植手術後、約2週間で根管治療を開始します。親知らずの根管は特に複雑なため必ずラバーダム防湿を行い、唾液の混入を防ぎます。根管治療が終わる頃には、歯の動揺が徐々になくなってきます。

歯牙移植STEP7 支台歯形成

歯牙移植1 STEP7 支台歯形成

歯の形態や色が悪い場合には、支台歯形成して歯冠修復を行います。マイクロスコープを使用して精密に仕上げます。

歯牙移植STEP8 セラミック修復

歯牙移植1 STEP8 セラミック修復

歯根破折を防ぐため、できる限りエナメル質を温存した上で、セラミック修復を行います。親知らずの大きさがぴったりではない時は歯冠修復が必要になることがあります。

歯牙移植STEP9 歯牙移植 施術前・ 施術直後・ 施術1ヶ月後の比較

保存不可能な歯の後方にある親知らずを移植しました。術後1ヶ月程度で動揺がなくなってきます。

レントゲンでも透過像が縮小傾向にあります。

歯牙移植STEP10 歯牙移植 施術前・ 施術後1ヶ月の比較

歯牙移植1 STEP10 施術前口蓋
歯牙移植1 STEP10 施術後1か月口蓋
歯牙移植1 STEP10 施術前側方面観
歯牙移植1 STEP10 施術後側方面観

移植手術終了後、近心に食片圧入があり、歯冠形態を改善するためセラミック修復を行う前です。

歯牙移植の治療期間・費用

精密検査・カウンセリング10,000円
CT撮影10,000円
移植手術 100,000円(歯周治療、抜糸・消毒は別途)
セラミック修復 130,000円

治療のリスク・副作用

将来的にアンキローシス(骨性癒着)・外部吸収・歯根破折が起きる可能性あり
上顎臼歯部の場合は、術後に上顎洞炎が起きるリスクがあります。
親知らずの形態によって手術中断の可能性があります。
一部付着が得られない場合は部分的に歯周ポケットが深くなる可能性があります。
清掃しにくい場合には、補綴治療によって改善が必要になります。